M&A(合併・買収)巧者の日本電産がまたも妙手を繰り出した。三菱重工業系の工作機械メーカーを8月に買収したのに続き、中堅工作機械メーカー、OKKの子会社化を発表した。工作機械のラインアップを拡充し、モーター以外にも収益源を広げる。だがその裏には、シェア争いで後れを取る工作機械用モーターの競争力に磨きをかける狙いも。この分野で強いファナックなどの背中を見据える。

 「日本電産の永守重信会長は工作機械に対してすごい熱の入れようだ」。11月18日、日本電産がOKK買収を発表するやいなや、業界には驚きが広がった。三菱重工の工作機械子会社を買収したのに続き、再び異業種に手を伸ばしたからだ。

 日本電産は54億円を投じてOKKへの出資比率を約67%とし、2022年1月をめどに子会社にする。「OKK は日本電産の工作機械事業において重要な位置づけを持つ会社となります」。日本電産は発表資料にこう記した。そのうえで「(OKKは)総合工作機械メーカーとして、品ぞろえを増やして営業力を強化するとともに、生産能力も速やかに増強していく予定です」と盛り込んだ。

 OKKは多種類の工具を自動交換しながら削ったり、穴をあけたりする中小型の「マシニングセンター」が主力。ステンレス鋼や耐熱性の高いニッケル合金など高精度に削るのが難しい材料を得意としてきた。しかし、近年は収益低迷にあえぎ22年3月期は連結最終損益が3期連続の赤字になる見通し。永守流の改革で体質改善に臨むことになる。

OKKは削るのが難しい超硬合金などの切削加工機を得意とする
OKKは削るのが難しい超硬合金などの切削加工機を得意とする

工作機械の心臓部に照準

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