EV(電気自動車)の普及を阻む大きな壁のひとつが充電ピーク時の電力逼迫とされる。これを防ぐことにつながるような新たなビジネスの種が生まれている。EVを「蓄電池」として活用し、互いに電力を融通しあう。2027年には世界で150億ドル規模の市場になると見込まれ、日本でも注目を集め始めた。

スタートアップ企業のREXEV(レクシヴ)は多数のEVを一元管理して、巨大なひとつの蓄電池として活用するビジネスの実現を目指す
スタートアップ企業のREXEV(レクシヴ)は多数のEVを一元管理して、巨大なひとつの蓄電池として活用するビジネスの実現を目指す

 「電力需要の高い午後4時から9時までの間はEVへの充電を控えてください」――。今夏、米カリフォルニア州で住民に節電を求める非常事態宣言が出た。猛烈な暑さで電力の需給バランスが崩れると予想されたため、EVの需要を抑えようとしたのだ。

 EVの消費電力は確かに大きい。車種にもよるが1回のフル充電で一般家庭2~7日分の電力を必要とする。仮に日本の乗用車が全てEVに置き換わった場合、原子力発電所なら10基、火力発電所なら20基を新設しなければいけない計算だ。

 電力インフラを維持するには供給と需要を常に一致させる必要がある。バランスが崩れると電力系統の周波数が変動し、ブラックアウト(全域停電)を招く。通常は火力発電所などを一時停止・追加稼働させることで調節する。

 EVの充電は需要が大きすぎるため、カリフォルニア州では十分な電力を供給できず停電を招くと危惧されて宣言に至った。多くの利用者は夕方の帰宅後に充電を始める習慣がついている。わざわざ深夜になってから車庫に出向き、充電器をつなぐ人は少ない。「EVの普及は現実的ではない」と否定的にみる向きが依然として根強いのは、電力インフラの課題が残っているからだ。

ブラックアウトを防ぐ

 こうした状況の改善につながるような新たなビジネスが生まれつつある。多数のEVを一元管理して、巨大なひとつの蓄電池として活用する「V2G(ビークル・ツー・グリッド)」と呼ばれる技術を用いた事業だ。

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