「動脈」と「静脈」の橋渡し

 プラスチック循環利用協会によると、日本国内の廃プラ総排出量は850万トン(19年)。マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどを通じた有効利用率は85%となっているが、内訳を見るとほとんどが発電焼却などエネルギー回収を目的とするサーマルリサイクルだ。85%のうち、再生利用するマテリアルリサイクルは22%、油化などのケミカルリサイクルは3%にとどまる。

 理想としてはマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが進む方が、脱炭素の流れを加速する上で好ましい。そのための技術開発は必須だが、加えて製造拠点と消費地が集約されているかどうかも、効率的なリサイクルの一条件となる。

 20年12月には川崎のコンビナートで昭和電工が日本マクドナルド、川崎市と組み、ストローなど使用済みプラスチック製品を水素、さらに電動二輪車(EVバイク)のエネルギーとして活用する実証実験が行われた。川上だけでなく川下も関わるリサイクルへの取り組みは広がってきている。

 全国にあるコンビナートそれぞれを動脈と静脈の橋渡し役として生かし、そこに自治体や地元企業、住民らを巻き込んでいくのは一つの選択肢として検討されていいはずだ。既存設備の有効活用にもつながるほか、結果的に地方創生の拠点になる可能性も秘める。

 近年では工場夜景クルーズなど、産業そのもの以外で注目が集まっているコンビナート。石油・化学業界にとって一見逆風のように思える脱炭素機運の高まりも、それを逆手に取り「動脈」と「静脈」を結ぶ存在へと変貌を遂げられれば、巻き返しを図ることは十分に可能かもしれない。

(写真:PIXTA)
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