電子レンジやレーダーなどに使われる「マイクロ波」。対象物に効率良くエネルギーを伝えられる特性に、化学をはじめとする大手メーカーが熱視線を送る。樹脂製品の資源循環を進めるカギとなるかもしれないと期待感を高めている。

電子レンジでおなじみの「マイクロ波」の産業利用が進んでいる(写真:PIXTA)
電子レンジでおなじみの「マイクロ波」の産業利用が進んでいる(写真:PIXTA)

 2021年6月、自動車のランプカバーなどに使われるアクリル樹脂のリサイクルを実証する設備が大阪市で稼働を始めた。廃アクリル樹脂を分解するために熱を加える際に使うのは、化石燃料ではなく、電子レンジでおなじみの「マイクロ波」だ。

 この設備を建設したのは、化学大手の三菱ケミカルと、07年設立の大阪大学発スタートアップ、マイクロ波化学(大阪府吹田市)。分解した原料からアクリル樹脂を製造し、そのコストや品質、エネルギー消費量などを検証していく。実証設備で試す廃アクリル樹脂としては、三菱ケミカルの製造工場で生じる廃材に加え、ホンダとの連携で集めた廃車のテールランプなども用いる。三菱ケミカルは24年の稼働を目指し、アクリル樹脂のリサイクル工場の建設を検討していく。

器を温めずに中身を温められる

 電磁波の一種であるマイクロ波の最大の特徴が「特定の物質に対して、分子レベルでエネルギーを直接伝えられること」だ。

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