日本たばこ産業(JT)が8月17日に全国発売した加熱式たばこの新製品「プルーム・エックス(Ploom X)」。2022年に国内と海外のたばこ事業を一本化するのを前に、研究開発(R&D)部門がいち早く統合して作り上げた。異なるノウハウや慣習に現場は「もめてばかり」。逆にその衝突が初のグローバルモデルを実現させる原動力となった。

 Ploom XはJTが「最重要戦略商品」と位置づける商品だ。現在、加熱式は国内たばこ市場の約3割を占め、このうちシェアトップは「IQOS(アイコス)」を展開する米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI、約7割)。「glo(グロー)」の英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が約2割で追う。約1割と出遅れるJTは今回の新製品で巻き返しを図る。

 Ploom Xでは加熱温度を同社従来品より高めたほか、加熱技術を新たに開発して吸い応えを向上。Bluetoothを搭載し、スマートフォン上でバッテリー残量の確認やデバイスロックができる機能なども付けた。国内だけでなく、海外での展開も予定する。

「最重要戦略商品」に位置づけるJTの新商品「Ploom X」
「最重要戦略商品」に位置づけるJTの新商品「Ploom X」

 市場への浸透という意味で大きな期待を背負う今回の新商品。同時に、JTとしては来年に控える「変革」の行く末を占う商品でもある。それが、22年に予定するJTの国内たばこ事業とJTインターナショナル(JTI)の海外たばこ事業の統合だ。

絶えなかった衝突

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