DMG森精機の成長を支える原動力は、工作機械ビジネス全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。販売単価の向上や顧客との接点の拡大に貢献している。約20年前に独自のソフトウエア開発に着手して以来、少しずつまいてきた種が実を結んだ。

■連載のラインアップ
(1)DMG森精機の反「ものづくり」主義、日独融合で新境地
(2)工作機械をiPhoneのように DMG森精機、デジタル革新で商機生む(今回)
(3)世界の人材争奪戦に勝つ DMG森精機、国内初任給を最大3割上げ
(4)DMG森精機社長、「ものづくり」という言葉が嫌い 垂直統合こそ力

 DMG森精機の前身、森精機製作所が、工作機械の名門メーカーだった独ギルデマイスター(DMG)と資本業務提携したのは2009年。前年秋のリーマン・ショックの影響で、森精機の10年3月期の連結売上高は664億円と前期の半分以下に落ち込み、営業損益は269億円の赤字(前期は59億円の黒字)に沈んだ。

 反転攻勢を期してスタートした提携は時間をかけながら深化した。13年に社名とブランドを統一。15年に経営一体化を図り、16年に完全に経営統合した。欧州で圧倒的な地位にあったDMGと、日本と米国で強かった森精機とで販売地域を補完できたこともあって、順調に成長を続けた。

独ハイダックに納入した生産システムでは、4000本もの工具を自動管理する(写真:Mari Kusakari)
独ハイダックに納入した生産システムでは、4000本もの工具を自動管理する(写真:Mari Kusakari)

 その強さは新型コロナウイルス禍でも発揮された。20年12月期は売上高こそ3283億円と前期比で約3割減らしたが、営業損益は106億円の黒字を確保。その後、急速に業績を立て直し、今期(22年12月期)は売上高が14%増の4500億円、営業利益率10%を見込む。

 危機にあっても一定の利益を確保し、業績を急回復できた最大の理由は、前回記事で紹介した独ハイダックのような顧客の難しいニーズにも応える技術力を裏打ちしているデジタル化だ。20年前の森精機時代から種をまき、ドイツ側との統合で加速したデジタル化によって、単なる工作機械売りから、大きく事業モデルを転換したことが強固な収益力に反映されている。

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ソフトの力で高付加価値化

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