2021年4~6月期の連結決算(国際会計基準)で財閥系の化学メーカー3社が大幅増益を果たした。主因は石油化学製品の市況改善。しかし、通期の業績予想を上方修正したのは三井化学のみ。その理由として透けて見えるのが「脱石化依存」の進み具合の差だ。
2021年4~6月期の最終損益は、三菱ケミカルホールディングス(HD)が前年同期比9.7倍の499億円、住友化学が356億円(前年同期は73億円の赤字)、三井化学が426億円(同23億円の赤字)だった。
「第1四半期としては売上収益、コア営業利益、純利益のすべてが過去最高で非常にいい決算だった」と満足げに話すのは住友化学の佐々木啓吾常務執行役員。3社とも、経済活動や石化市況の回復が業績改善を支えた。

ただし、石化市況はペースダウンが懸念される。三菱ケミカルHDの伊達英文最高財務責任者(CFO)は「一部の石化製品に需要が集中して価格が高騰した」と4~6月期を振り返る。プラスチック原料のビスフェノールAなどで同業他社の設備トラブルが発生した影響が長引いた。この特需が第2四半期以降は縮小すると各社は警戒する。
こうした中、三菱ケミカルHDと住友化学は通期見通しに慎重な姿勢を崩さず、期初の予想を据え置いた。その一方で、三井化学は22年3月期通期の純利益予想を従来の790億円(前期比37%増)から995億円(同72%増)に引き上げた。併せて上方修正したコア営業利益(同66%増)も含めて過去最高を見込む。
置かれた事業環境は3社とも同じだが、明暗が分かれたのはなぜか。三井化学の強気な見通しを支えるのが「成長3領域」と呼ぶセグメントだ。
「期待以上の業績拡大」
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