三菱重工業は20日、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」を載せた国産ロケット「H2A」42号機を、鹿児島県にある種子島宇宙センターから打ち上げた。次に注目が集まるのが宇宙航空研究開発機構(JAXA)と開発中の後継ロケット「H3」だ。2020年度中に試験機1号機の打ち上げを予定し、民生部品の活用など低コスト化によって打ち上げ価格は従来の約半額となる50億円を目指す。これまで培った信頼性という強みに「安さ」を加えて、世界で激化する商業衛星の受注競争に臨む。

三菱重工業は20日、種子島宇宙センター(鹿児島県)でUAEの火星探査機を載せたロケットH2Aを打ち上げた(写真:三菱重工業提供)
三菱重工業は20日、種子島宇宙センター(鹿児島県)でUAEの火星探査機を載せたロケットH2Aを打ち上げた(写真:三菱重工業提供)

 「HOPEが無事にミッションを完遂し、新型コロナウイルスで世界が難しい状況のなか、人々に明るい気持ちと希望をもたらすことを祈念する」。ロケットは1時間で予定軌道に探査機を投入して打ち上げは無事成功。三菱重工の防衛・宇宙セグメント長の阿部直彦執行役員はHOPEの長旅の無事を祈った。

 HOPEは宇宙を7カ月間飛んで21年2月には火星の周回軌道に入り、高度2万~4万キロから気候変動を調べる。中東の国が惑星間探査機を飛ばすのは初めてだ。

 三菱重工は16年、UAEのドバイ政府宇宙機関(MBRSC)からHOPEの打ち上げ輸送を受注した。これで海外顧客からの衛星打ち上げ輸送サービスの受注は4件目。H2B、H2Aの打ち上げは45回連続で成功し、成功率は98%と「信頼感」は世界で見ても高水準だ。

 国産ロケットは代替わりが近づく。JAXAがロケット技術を移転し、三菱重工は07年からH2Aによる打ち上げ輸送サービスを開始し、13年からH2Bも加わった。H2Bは5⽉に最終号機を打ち上げて役目を終えた。H2Aも23年度に引退し、国産ロケットの中心は開発中の後継機H3に引き継がれる。

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