
プロ野球・東京ヤクルトスワローズの本拠地、明治神宮野球場(東京・新宿)。敷地内にあるクラブハウスの入り口に6月上旬、「菌・ウイルスを持ち込ませない!」と書かれたゲートが置かれた。開発したのは染めQテクノロジィ(茨城県五霞町)という特殊塗料メーカー。お世辞にも知名度は高くない会社だが、東武鉄道や富士フイルムビジネスイノベーションジャパンといった大手企業からの注目を集めている。
クラブハウス入り口に置かれたゲートの名称は「抗菌Qゲート」。人が通るとセンサーが感知して、ミスト状の抗菌剤を首から下の部分に噴霧。衣類などに付いた菌やウイルスを不活化する仕組みだ。ヤクルトの選手やスタッフらはこのゲートを通ってクラブハウスに入るため、施設内への菌・ウイルスの持ち込みを防げるというわけだ。抗菌剤は糖尿病の経口薬や目薬などにも使われる人体に無害な成分で構成するもので、染めQが開発した。

染めQの主力商品は、厨房や工場の床補修、鉄階段の防錆(ぼうせい)などに対応できる特殊塗料。例えば床補修向けの商品は、油まみれでも脱脂や表面の切削なしで直接施工できるといった特長を持つ。防錆作業も通常は表面に浮き出たサビや汚れを落とす下処理が必要だが、染めQの塗料は下処理なく施工できるのが強みだ。非上場で従業員数も90人と小規模ながら、大手商社やゼネコン、官公庁、海外の財閥系企業などと取引している。
10年余り倉庫に眠っていた抗菌剤
そんな染めQが作ったこの抗菌剤、実は10年余り倉庫に眠っていたものだという。
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