ロシアによるウクライナ侵攻などで穀物価格が高騰する中、国産飼料に注目が集まっている。関東周辺の地域生協でつくるパルシステム生活協同組合連合会(東京・新宿)は、食材宅配サービスなどで扱う豚肉や卵の生産過程で、国産飼料の利用を拡大した。食料安全保障の強化につながる取り組みだが、国産飼料の活用を一朝一夕に増やすことの難しさも浮き彫りになっている。

 パルシステムは6月下旬、国産飼料比率引き上げに関する発表会を開いた。比率を高めた商品は2つ。1つはポークランドグループ(秋田県小坂町)から調達する豚肉だ。同社は年15万頭分の豚肉を出荷する養豚大手。そのうちパルシステムは4万頭分を仕入れ、「日本のこめ豚」というブランド名で販売している。

 ポークランドグループは2006年ごろにパルシステムから働きかけを受けて以降、輸入トウモロコシを国産の飼料用米に切り替え、徐々に割合を増やしてきた。21年度までに30%まで引き上げていたが、パルシステム向けの豚肉については4月から、出荷前2カ月間に使う飼料用米の割合を40%に高めた。

パルシステム連合会が開いた「国産飼料比率引き上げ発表会」。左からポークランドグループ代表の豊下勝彦氏、パルシステム連合会の執行役員で産直事業本部長の島田朝彰氏、JAやさとの松﨑泰弘氏
パルシステム連合会が開いた「国産飼料比率引き上げ発表会」。左からポークランドグループ代表の豊下勝彦氏、パルシステム連合会の執行役員で産直事業本部長の島田朝彰氏、JAやさとの松﨑泰弘氏

 もう1つは「コア・フード国産飼料で未来へつなぐ平飼いたまご」という卵だ。やさと農業協同組合(JAやさと、茨城県石岡市)が運営する松﨑養鶏場(同)のほか、アグリイノベーションズカンパニー(千葉県旭市)、伊豆鶏業(静岡県伊豆市)で生産する。採卵用のニワトリに与える飼料全体の90%以上を国産飼料としている。

 「平飼い」とは、檻(おり)の中でニワトリを育てる「ケージ飼い」と異なり、地面に放し飼いする飼育方法のこと。松﨑養鶏場では3000羽を平飼いしており、そのうち1000羽で国産飼料90%を実現させた。飼料用トウモロコシのほか、大豆や米ぬかも茨城県内の生産者から調達する。

 パルシステムは「日本のこめ豚」のローススライスを160グラム当たり451円(税込み)で販売している。これとは別に国産飼料比率の低い商品を同価格で販売しているが、こちらは170グラム入りだ。未来へつなぐ平飼いたまごは6個で518円。こちらも国産飼料比率が低い卵(6個333円)と比べると割高だ。

 それでも売れ行きは好調で、日本のこめ豚の22年4~6月期の販売数量は約48万パックと、前年同期比45%増だという。パルシステム執行役員で産直事業本部長の島田朝彰氏は「国産飼料を使う重要性を理解している顧客が買ってくれている」と話す。

「日本のこめ豚」のローススライス。ポークランドグループでは2006年ごろから徐々に国産飼料の利用割合を高めてきた
「日本のこめ豚」のローススライス。ポークランドグループでは2006年ごろから徐々に国産飼料の利用割合を高めてきた

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