出光興産は2024年3月をめどに、子会社が山口県で運営する製油所の精製機能を停止すると発表した。石油製品需要が想定以上の勢いで減少。脱炭素の流れで回復は見込めないため、生産能力を削減する。石油元売り各社が縮小均衡へと動く中、業界で供給網を補完し合う「協力関係」が強まる可能性がある。
出光興産は現在約67%出資する西部石油(東京・千代田)を完全子会社化した上で、同社の山口製油所(山口県山陽小野田市)の精製機能を停止する。精製能力は1日当たり12万バレル。出光グループ全体の13%に相当する能力を削ることになる。停止後は再生可能エネルギーなど環境負荷の少ないエネルギーの研究開発拠点として活用する方針だ。

「国内の石油製品需要の減少スピードは従前の予想よりも速まっている」。出光の丹生谷晋副社長は6月14日の記者会見でこう語った。少子高齢化による市場縮小や脱炭素機運の高まりに加え、新型コロナウイルス禍で生活様式が変わったことも影響しているという。
出光グループでは、現状のまま精製能力を維持すると、2030年までに1日30万バレル程度の能力が余剰になる見込み。山口製油所での生産停止だけでは追いつかない。丹生谷氏は「(30年以降も)需要は減少していくので、30年までに30万バレルを削減して終わりではない」とも語った。
EVシフト、需要減少一段と
30年以降には自動車市場で電気自動車(EV)シフトが加速するとみられ、燃油需要の縮小は避けられそうにない。
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