三菱ケミカルグループや三井化学など国内の大手総合化学メーカーの足取りが重い。2024年3月期連結決算は新型コロナウイルス禍による特需の反動減が響く半導体関連が戻りきらず、低水準にとどまる見込み。業績浮揚へのカギは明るい兆しが出始めたエンジンやバンパーに使う自動車向けの高機能樹脂だ。

 12月期決算のレゾナック・ホールディングスを除く三菱ケミカルグループと三井化学、東ソー、住友化学、旭化成の国内総合化学大手5社の24年3月期連結最終損益の単純合算は3670億円となる見通しだ。23年3月期合算比では2.5倍になるものの、22年3月期合算比では49%減の水準だ。

 住友化学の岩田圭一社長は「世界経済は先行きが見通しがたいものになっている」と厳しい表情で話す。

 大手5社のここ最近の業績推移を見てみよう。18年3月期、19年3月期は樹脂製品などをつくるための原料となる基礎化学品を中心とした石油化学製品の市況が改善し、好調だった。しかし新型コロナが流行すると製品需要が低迷したほか、自動車の減産によってエンジン回りやバンパーなどに使う高機能樹脂も販売が減少した。

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