日本製鉄が業績のV字回復を急ぐ。鉄鋼生産設備の再編による損益分岐点の改善に一定のメドがつき、さらに鋼材値上げで利幅を増やす方針。中国最大手の宝武鋼鉄集団の脅威が日に日に増していることが背景にある。

 「徹底して固定費を削った成果が出てきて、トンネルをなんとか抜けつつある」。7日の決算説明会で日鉄の橋本英二社長はこう述べ、業績の最悪期は脱したとの認識を示した。橋本社長はパンデミックを引き金に浮き彫りとなった国内鉄鋼事業の余剰生産体制にメスを入れ、生産設備の集約を進めてきた。構造改革に伴う巨額の減損損失や事業再編損によって2021年3月期まで2期連続で最終損益は赤字を計上したが、22年3月期の最終損益は2400億円の黒字を見込む。直近2年で取り組んできた固定費や変動費の削減による効果が業績を押し上げる。

日本製鉄の橋本英二社長は中国の脱炭素製鉄技術の開発強化を警戒する

 費用削減だけに頼らず業績を安定回復するには何が必要か。今期は世界的な鉄鋼の需要回復に支えられて日鉄の単独粗鋼生産量は3期ぶりに4000万トンを回復する見込み。しかし人口減による国内鉄鋼需要の構造的な先細りは避けられず、日鉄は26年3月期の単独粗鋼生産量が3800万トン程度と10年前に比べて約20%減少すると見込む。橋本社長は数量が低水準でもしっかり稼ぐには「鋼材値上げ、『ひも付き価格』の是正が欠かせない。営業部隊が頑張って進めてきたが、まだ途上で、ほふく前進してグローバル水準に是正する」と課題を挙げる。

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