新型コロナウイルスの猛威で三菱重工業の針路が見えにくくなった。長崎造船所(長崎市)で修繕後に停泊中だったイタリア籍クルーズ船で乗組員が集団感染した。世界の客船市場は当面冷え込みが続きそうで、修繕事業の先行きは暗転する。旅客機の需要も大幅に減り、開発中のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の事業化スケジュールも遅れる可能性がある。三菱重工は経営を安定させるためにリスク資産を減らす計画のまっただ中にある。「大しけ」を耐え、さらにコロナ後を見すえた事業戦略を描けるだろうか。

三菱重工の長崎造船所香焼工場に停泊していたクルーズ船「コスタアトランチカ」で148人の新型コロナ集団感染が発生した。長崎県が船側に乗下船の自粛を求めた後も乗組員が船を乗り降りしていたと分かり、一時は市中への感染の広がりが懸念された。長崎は三菱重工の企業城下町で信頼が厚いだけに、地元住民の動揺も大きかった。社内でも「当社の岸壁を使って乗組員も工場の門を出入りしていた以上、無関係とは言えない」(三菱重工幹部)との声があり、水際対策の難しさが浮き彫りとなった。
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