若い人々をNewMake Laboへと引き寄せているのが、イミ消費という価値観だ。人々の消費行動が、モノを手に入れることに価値を見いだす「モノ消費」から、経験や体験を重視する「コト消費」へとシフトしたといわれて久しい。

 一方、イミ消費では、モノやサービスを購入することで社会、文化、環境などに貢献することが重視される。本来なら捨てられていたはずの廃棄品をアップサイクルすることでムダと環境負荷をなくすと同時に、好みの服や小物を生み出す――。それを実現するツールがミシンというわけだ。

 NewMake Laboを通じて会員はアパレル側の実情も知りつつ、資源の有効活用やSDGs(持続可能な開発目標)への意識を高める。会員同士の交流や口コミでそうした輪が広がる。ブラザーはそうした輪の中にビジネスにつながる居場所を見いだした。

 
ブラザーが販売する刺しゅう用ミシン「ルミナイアー XP1」
ブラザーが販売する刺しゅう用ミシン「ルミナイアー XP1」

 子ども向けの衣料品を作る親や、シニア世代といった従来のユーザー層から、新たに若年層にも間口が拡大しているミシン。新たな接点をさらに拡大するため、ブラザー販売は今年3月下旬、「ソーイングオアシス」と呼ぶウェブサイトを設けた。

 エプロンやズボンといった衣服から、お弁当袋、ティッシュケースといった小物まで、ミシン作品の作り方を掲載。入園・入学グッズの紹介など季節の話題に合わせた特集記事なども掲載している。初心者から中級者のミシンユーザーを中心に、自分のやりたいことを見つけてもらう。

 かつては「嫁入り道具」の1つに数えられていたミシン。あくまでも道具であって居間に飾っておくものではない。洋服を作りたい、刺しゅうをしたい、といった目的があれば良いが、それを使って何をしたいかが明確でないと長続きしない。結局は押し入れに眠ってしまうケースも少なくなかった。

ブラザー販売の安井宏一常務はユーザーとの双方向のやりとりに力を入れると語る
ブラザー販売の安井宏一常務はユーザーとの双方向のやりとりに力を入れると語る

 そうしたミスマッチをなくし、少しでも長くミシンを使ってもらいたいという思いもソーイングオアシスには込められている。これまでも作り方を紹介してきたが、「どうしても一方通行になってしまう。ソーイングオアシスは将来的に双方向へと変える」(グループの販売会社、ブラザー販売の安井宏一常務)考え。NewMake Laboとコラボしたイベントなども検討する。

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