住友化学が資本参加するサウジアラビアの石油化学プラント「ペトロ・ラービグ」。約2兆円の総事業費を投じながらも、石化製品需要の低迷などで業績が悪化し、減資と増資を組み合わせた財務リストラを予定するほどにまで累積損失が膨らんでいた。だが、ここに来て流れが反転。原油高につながった外部環境の変化を受けて、息を吹き返しつつある。

 ペトロ・ラービグは住友化学とサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが37.5%ずつを出資する合弁事業だ。2005年に合弁会社を設立し、09年から操業を開始。ガソリンなどの石油製品のほか、ポリエチレンやポリプロピレンといった石化製品を製造してきた。現在は操業第2期に入っている。

 「ラービグ計画は近年の当社案件の中で最も収益性の高いプロジェクト」「(中期経営計画において)『ラービグ計画の完遂』を最重要の課題として位置付ける」――。00年代に公表された住友化学の投資家向け広報(IR)資料にはこうした威勢のいい文言が目立つ。

 経団連会長も務めた当時の住友化学社長、故・米倉弘昌氏の肝いりで進められた。ところが安定操業や収益化のメドがなかなか立たず、市場関係者らから「お荷物だ」などと指摘されることも少なくなかった。

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