印刷大手の大日本印刷(DNP)がデジタル技術を生かし、自動車分野で新事業を始めている。主軸になるのは本人確認をデジタル上で行う「デジタルキー」で、車のソフトウエア化の流れに乗る。情報の保護という従来の強みを生かした事業ポートフォリオの再構築は、どこまでうまく進むだろうか。

 「行ってきます」。家の鍵を閉めたスマートフォンで今度は車の鍵を開け、仕事へ向かう。途中で立ち寄った宅配ボックスに届いていた荷物も、スマホをかざして受け取る――。

 DNPは、スマホ1台でこんなふうに様々な鍵の解錠・施錠ができる「デジタルキープラットフォーム」サービスを手掛けている。トヨタ自動車が32%(2021年9月末時点)出資する部品メーカー、東海理化と組んで開発を進める。

 22年4月、両社は社用車の予約や管理、デジタルキーの提供を組み合わせたサービスを始める予定だ。プラットフォームそのものは21年から提供しており、東海理化が持つ車部品の電波制御技術と、DNPが持つデジタルキーの高いセキュリティー技術などを融合させた。

カーシェアリングでのデジタルキーの活用イメージ。スマホが鍵となり、利用時間なども教えてくれる
カーシェアリングでのデジタルキーの活用イメージ。スマホが鍵となり、利用時間なども教えてくれる

紙の印刷で培った情報保護のノウハウ

 DNPがデジタルキーを手掛けている理由は、1876年の創業以来、印刷物を扱ってきた歴史にある。

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