「誰が一番先か。当然、日本製鉄である」
鉄鋼生産は「カーボンニュートラル」の達成に向けた難題とされる。鉄鉱石と石炭を原料として二酸化炭素(CO2)を大量に排出する従来の生産工程を抜本的に見直さなければならないからだ。石炭の代わりに水素を使う「水素還元製鉄」では、高炉を使わない製鉄技術が必要になる。大型電炉による高級鋼板の製造なども求められる。新しい生産工程への移行には設備投資も含めて4兆~5兆円かかるとされる。
ミタル、宝武などとの激しい技術開発競争がこれから予想されるが、橋本社長は強気だ。「(脱炭素の製鉄技術について)これらを商業ベースで確立できた鉄鋼メーカーはまだない。先んじれば新しい還元法のヘゲモニー(覇権)を握れるが、2番手3番手になれば高いコストを払ってまねるしかない。問題は誰が一番先にめどをつけるか。当然、日本製鉄である」と決意を述べた。
21年3月期の連結最終赤字が1200億円になる見通しで、かつてない危機に立っている日鉄。国内の生産能力削減と海外M&A、そして技術革新。挑む山の頂は猛吹雪でまだ見えない。
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