総合化学の一員ながら、石油化学や繊維といった枠にとらわれず、常に事業を入れ替えてきた旭化成。前回記事で紹介した2つの新規事業をはじめ、同社には次なる成長の“芽”を育む土壌がある。100年余りの歴史の中で培ってきた「現場主義」に基づく事業創出のDNAを3つのポイントにまとめて紹介する。
■連載ラインアップ
・ラップ、住宅だけじゃない旭化成 「絶対無理」でもまく成長の種
・ノーベル賞企業・旭化成、事業の新陳代謝を可能にする3つの経営術(今回)
・「花開いてなくても辛抱」 旭化成・工藤社長が語る経営者の眼力>br>
時代のニーズに応じて事業ポートフォリオを転換し続けてきた旭化成は、どのように新規事業の種をまき、芽吹かせてきたか。前回記事で見た2つの新規事業からは3つのポイントが浮かび上がってくる。
1つ目は事業間の「垣根の低さ」。数多くの事業を抱えているコングロマリット(複合企業)では、どうしても縦割りの各事業部門で完結する活動が増えてしまいがちだ。
先述したフレッシュロジでは、多くの事業部門から人員が集結し、常識にとらわれない発想を生み出している。これは、プロ野球用語をヒントに「FA」と名付けた社内公募制度によるもの。アクリティア事業にも電子部品の開発部門にいた社員が参画しており、グループ全体では年150~200人が応募しているという。
「次世代経営リーダー育成制度」と呼ぶ仕組みもある。将来のリーダー候補者を選抜したり、ビジネスリテラシーを高めたりするのが目的だが、約9カ月にわたる受講期間中に新規事業のアイデアを5人ずつからなる3~4のチームで提案・議論。最終発表会では経営層に対してプレゼンテーションし、評価を得たものは継続して事業化を検討していく。
メンバーが部署の垣根を越えて「ワイガヤ」できる環境があるからこそ、他の部署や会社全体の事業内容、そして方向性などを感じ取ることができる。ひいては、それらが新規事業の芽を育むための土台にもなる。
「もう少し頑張ろう」が生んだ快挙
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