2022年に創業100周年を迎えた旭化成。サランラップ(ラップフィルム)とへーベルハウス(住宅)で広く知られるが、エレクトロニクス素材や医療機器も手掛ける多才な化学メーカーだ。幅広い事業ポートフォリオは、時代に合わせて大胆な新陳代謝を繰り返してきた証し。今、芽吹き始めている2つの新規事業から、旭化成流の成長力の源に迫る。

■連載予定(タイトルは変わる可能性があります)
・ラップ、住宅だけじゃない旭化成 「絶対無理」でもまく成長の種(今回)
・ノーベル賞企業・旭化成、事業の新陳代謝を可能にする3つの経営術
・「花開いてなくても辛抱」 旭化成・工藤社長が語る経営者の眼力

 「被害額は年5000億円規模」(消費財メーカー)、「対策をしてもいたちごっこ。3カ月もすれば偽造品が出回る」(化粧品メーカー)──。世界で被害額が年50兆円以上ともされる偽造品。機会損失やブランド価値の毀損といった被害に悩む企業は少なくない。

 その対策に一役買うと期待されているのが、厚さ0.1ミリ前後の見た目はごく普通の透明なラベル。旭化成が開発した「Akliteia(アクリティア)」と呼ぶ素材だ。システム開発のTISと組み、2022年10月から国内販売を本格化した。

 真贋(しんがん)判定のためのラベルとして正規品に取り付ける。表面には0.003ミリ以下の細さの微細なパターンが印刷されている。肉眼では全く判別できない。

旭化成が開発した「アクリティア」。ただの透明なラベルに見えるが、偽造品対策の画期的な技術が秘められている
旭化成が開発した「アクリティア」。ただの透明なラベルに見えるが、偽造品対策の画期的な技術が秘められている

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