日本企業が安い労働力を求めて進出した東南アジアで人手不足が深刻化している。日系企業数が約5900社(日本貿易振興機構=JETRO=の2021年調べ)と域内最多のタイでは、少子高齢化による労働人口の先細りに加え、新型コロナウイルス禍を経て出稼ぎ外国人が減少。建設業や製造業に影響が広がっている。

 タイの空の玄関口、スワンナプーム国際空港から首都バンコク中心部まで車で1時間余り。日本の郊外を思わせるような真新しい戸建て住宅群や、おしゃれな外観のコンドミニアムの建設現場が車窓を流れていく。「あれでいくらぐらいでしょうね。私にも手が届くかな」──。運転手が片言の英語で尋ねてくる。

タイの建設現場は近隣国出身の出稼ぎ労働者によって支えられてきた(写真:AFP/アフロ)
タイの建設現場は近隣国出身の出稼ぎ労働者によって支えられてきた(写真:AFP/アフロ)

 新型コロナウイルス禍で中国からの投資マネーがストップし、バンコクの不動産市場は冷や水を浴びせられた。デベロッパーはまず新規着工を凍結して在庫処分を急いだが、次第にタイ人中間層の実需の底堅さに注目し始めた。

 コロナの感染が収束してくると、各社は実需を取り込もうと、一斉に新規着工を再開した。都心の物件から郊外の手ごろな価格の物件へと供給の軸は移行。空港からの道すがら目にした光景は、こうした郊外を舞台とする建設ラッシュの一端だ。

 その陰でデベロッパーを悩ませているのが建設作業員の不足だ。野村不動産現地法人の山村周平課長は「ワーカー不足による工事遅延は、かなりのインパクトで表れている」と打ち明ける。

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