貿易戦争、人知を超える人工知能、気候変動、そしてパンデミック──。何が起きてもおかしくはない予測不能な時代に突入し、企業はこれまで解いたことのない難題を突き付けられている。しかし、ニッポンの製造業はこれまで何度も危機を跳ね返してきた。新時代に合わせたサプライチェーン再構築、イノベーションに挑戦する企業、そこで働く人々が変身していく様を追いかける。(写真:PIXTA)
シリーズ
インダストリー羅針盤

118回
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最悪赤字転落の旭化成 1850億円減損でも投資家に響いた“勝算”
700億円の黒字から1050億円の赤字へ――。旭化成が今期(2023年3月期)の連結最終損益予想を大幅に下方修正し、同社として史上最悪の赤字を計上する見通しになった。一見ネガティブな赤字転落だが、工藤幸四郎社長は成長への…
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三菱ケミカル、ギルソン改革貫徹へ3つの難所 営業益8割増なるか
三菱ケミカルグループが3年間で本業のもうけを8割増やす野心的な新中期経営計画を発表した。達成に自信を示したジョンマーク・ギルソン社長を株式市場も評価。同社の株価は持ち直している。強気の利益成長シナリオを点検してみると、実…
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ブリヂストン、初の売上高4兆円 原料高退けた「値上げは正義」
ブリヂストンが2022年12月期の連結決算(国際会計基準)で、売上収益(売上高に相当)を同社初の4兆円の大台に乗せた。自動車や鉱山機械など向けで高付加価値タイヤへシフト。高い競争力をもって値上げを推し進め、原料高を跳ね返…
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「花開いてなくても辛抱」 旭化成・工藤社長が語る経営者の眼力
「『失敗を恐れずにチャレンジする』という旭化成のDNAが欠けてきているとの不安があった」。2022年、創業100周年の節目に旭化成のトップに就いた工藤幸四郎社長は、「野武士」「アニマルスピリット」といった言葉で社内を鼓舞…
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ノーベル賞企業・旭化成、事業の新陳代謝を可能にする3つの経営術
総合化学の一員ながら、石油化学や繊維といった枠にとらわれず、常に事業を入れ替えてきた旭化成。前回記事で紹介した2つの新規事業をはじめ、同社には次なる成長の“芽”を育む土壌がある。100年余りの歴史の中で培ってきた「現場主…
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ラップ、住宅だけじゃない旭化成 「絶対無理」でもまく成長の種
2022年に創業100周年を迎えた旭化成。サランラップ(ラップフィルム)とへーベルハウス(住宅)で広く知られるが、エレクトロニクス素材や医療機器も手掛ける多才な化学メーカーだ。幅広い事業ポートフォリオは、時代に合わせて大…
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板金加工機大手アマダが社長交代へ 「誰でも熟練技能者」時代開く
板金加工機世界大手のアマダが社長交代を決めた。技術畑出身の山梨貴昭取締役専務執行役員(59)が4月1日付で昇格する。同社は神奈川県の本社に約250億円を投じて金属加工のイノベーション(技術革新)拠点を開いたばかりで、山梨…
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人手確保へイメチェン、タイ・クボタの危機感 日本出稼ぎにも背
東南アジア屈指の工業国タイでは労働人口の先細りで、製造業で自動化が加速している。働き手の意識も変わり、東南アジアから日本への出稼ぎも減る。安価な労働力を前提にした事業モデルはアジアで通用しなくなりつつある。
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老いるタイ、野村不動産も悩む人手確保 出稼ぎ外国人50万人不足
日本企業が安い労働力を求めて進出した東南アジアで人手不足が深刻化している。日系企業数が約5900社(日本貿易振興機構=JETRO=の2021年調べ)と域内最多のタイでは、少子高齢化による労働人口の先細りに加え、新型コロナ…
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国内新興にサウジアラムコのVC出資 ボーン・グローバルは続くか
新興企業のテラドローン(東京・渋谷)にサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコ傘下のベンチャーキャピタル(VC)が出資した。テラドローンのように、創業期から海外進出を狙う「ボーン・グローバル」の新興が日本でも目立つ。…
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ホンダ発ベンチャーの挑戦、自動運転技術応用で視覚障害者をサポート
靴に取り付けられたIoTデバイスが、振動で道順を知らせる、ナビゲーションシステム「あしらせ」。従来、音声案内などに頼っていた視覚障害者の単独歩行をサポートする。「安心して一歩踏み出せるように」開発したのは、ホンダ発のスタ…
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1兆円買収で誕生したレゾナック 戸惑う6割の社員の活性化なるか
旧日立化成を約1兆円で買収した旧昭和電工が1月、統合新会社レゾナック・ホールディングス(HD)として新たなスタートを切った。大胆な構造改革を進める高橋秀仁社長は17日の発足説明会で、総合化学からの脱却と半導体・電子材料事…
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三菱マテリアルが本格参入 EV用電池リサイクルで進む合従連衡
非鉄大手の三菱マテリアルが、電気自動車(EV)用蓄電池などに使うレアメタル(希少金属)のリサイクルに本格参入する。EVが普及する2030年前後に需要が急拡大するとみて、金属リサイクル業のエンビプロ・ホールディングス(HD…
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三菱航空機、開発凍結2年 ブラジルの翼の攻勢になすすべなし
三菱重工業傘下の三菱航空機(愛知県豊山町)が、国産旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発凍結を表明して約2年が経過した。三菱重工経営陣から開発再開の条件など明確な説明はなく、航空業界でも話題から遠ざかっている。ラ…
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都市鉱山、本命はEV レアメタル確保へ蓄電池のリサイクル加速
資源高などを受け、電気自動車(EV)用蓄電池に必要なレアメタル(希少金属)の調達環境が不安定になっている。天然資源に代わる都市鉱山として注目を浴びるのが、使用済みの蓄電池だ。非鉄・リサイクル各社ともEV普及期に入る203…
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化学大手に減益ドミノ スマホや家電の需要減、原料高との二重苦に
化学業界にインフレーションの荒波が押し寄せている。財閥系化学メーカー3社(住友化学、三井化学、三菱ケミカルグループ)の2022年4~9月期連結決算は、いずれも最終減益。通期業績予想の下方修正も相次いだ。原燃料価格の上昇が…
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クボタ、農機の脱炭素に本腰 世界3位死守へ840億円で新拠点
農機世界3位のクボタが堺市に840億円を投じた新拠点「グローバル技術研究所」を開いた。研究開発拠点を集約し、農機の電動化など脱炭素対応を加速させる狙いだ。欧州を中心に“脱ディーゼル”の機運が高まる中、脱炭素の遅れが世界3…
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EV充電が招く電力不足リスク、解消の手段もEV 新興が探る新事業
EVの普及を阻む大きな壁のひとつが充電ピーク時の電力逼迫とされる。これを防ごうと新たなビジネスの種が生まれている。EVを「蓄電池」として活用し、互いに電力を融通しあう。
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規制委“1強”、電力会社を翻弄 権力チェックの仕組み欠く原発行政
原子力規制委員会による審査の非効率さを訴える電力会社と、効率性をなおざりにして電力会社に安全対応を迫る規制委。どうすれば国民も含めたステークホルダー(利害関係者)が納得する原子力行政を実現できるのか。
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原子力規制委発足10年 進まぬ原発再稼働、電力会社に渦巻く不満
政府の原子力規制委員会による審査で原子力発電所の再稼働がなかなか進まない。翻弄されている電力会社の間には、規制委が「非効率」との不満が渦巻く。規制委発足から9月で10年がたった。原発行政の番人はどこへ向かうのか。
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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