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 コロナ・ショックによって、日本では様々な手を講じても所得の大幅増は見込めそうにない。「年収2割減時代」の到来とともに、ただでさえ少子高齢化と人口減少に悩むこの国の経済はこれで“終わってしまう”のだろうか。今後の道筋に重要な示唆を与えてくれるのは、焼け野原から立ち直ったあの時代だ。

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 安倍晋三首相をはじめ世界各国の首脳は、コロナ・ショックで傷んだ自国経済を「V字回復させる」と語気を強める。が、ウイルスの封じ込めが遅々として進まぬ中、少なくとも日本では、その言葉を額面通りに受け止める人はもはや少数派に違いない。

 この先の日本経済がたどる道筋は、「V字型」でも二番底を織り込んだ「W字型」でもなく、数年、場合によっては10年単位でしばらく元に戻らない「L字型」になる──。専門家の間ではこんな悲観論が高まっている。

コロナ禍での「無接触前提」の風潮が長引けば、シェアリングエコノミーは土台から揺らぎかねない(写真:PIXTA)

 その根拠は枚挙にいとまがないが、例えばここ数年、日本経済の救世主といわれたシェアリングエコノミー。不動産やクルマ、自転車、洋服などあらゆる分野で他人とのシェアが実現すれば、「経済規模は3000億円、国内総生産(GDP)に反映すれば最大1000億円の押し上げ効果がある」と内閣府は推計した。だが、「コロナ禍での『無接触前提』の風潮が長引けば、『他人とのモノや空間の共有』が基本のシェアリング産業の土台が揺らぐ」(帝京大学の宿輪純一教授)。

 当然ながら「L字型」になれば、企業や個人、国が様々なやり方で増加を試みてきたにもかかわらずコロナ・ショックで落ち込む国民の所得も、当面回復は望めない。そして「年収2割減」の状態が続き、消費の一段の停滞を招けば、ハイパーインフレなど来なくても、日本経済の長期低迷は免れない。

 ただでさえ少子高齢化と人口減少に悩む日本。この国に明るい未来はもうないのだろうか。