全2505文字

 年金を安定的にもらいながら物価の安い国で暮らし、実質的な所得水準や生活水準を引き上げる──。一定の資産を持つプチ富裕層を中心に流行した、そんな「海外移住による実質所得増加計画」。日本では「年収2割減時代」が忍び寄り、さらには世界各国がコロナとの戦いに巻き込まれる中、このような老後プランにも影が差し始めている。

予告:夢のない賃金カーブにも襲いかかるコロナ

連載①:大企業社員も住宅&教育破産 「年収2割減時代」の戦慄

連載②:「時代は民泊」と挑戦 コロナで借金5000万円の人の今

 年金を安定的にもらいながら物価の安い国で暮らし、実質的な所得水準を引き上げる──。そんな“夢の老後計画”が流行し始めたのは2000年代に入ったころからだ。

 「人口減少や少子高齢化、国家債務の膨張、社会保障制度の老朽化によって、日本の未来は暗い。ならば、将来性のある国で暮らした方がいい」。こんな人生プランを勧める書籍が書店に並び、実際に、安定した年金収入を持つプチ富裕層などの間で、異国でのセカンドライフを計画する人が増えた。

異国でのセカンドライフを計画する人たちが2000年代から増えた(写真:PIXTA)

 外務省によると、こうした海外移住者(永住者、長期滞在者)は約139万人(2018年10月1日時点)。2000年当時の81万人の約1.7倍になった。

 1980年代後半~90年代初頭にも海外移住ブームが起きた日本。ただ当時は、バブル期の所得増加に成功した人には高級リゾートなどでの豪華な暮らしを目指す側面が強かったのに対し、昨今の移住は「物価水準の低い場所で所得や資産の割には余裕のある暮らしをする」のが狙いだ。おのずと移り住む先は新興国が中心となる。