新型コロナウイルスの感染拡大で、大企業でもリモートワークが一気に浸透した。働き方の自由度が高まり、社員のフリーランス化が加速するとの指摘もある。オンラインで仕事を受発注するクラウドソーシング大手、クラウドワークスの吉田浩一郎社長は、リモート化一辺倒の流れに警鐘を鳴らす。

 6月16日には一般社団法人「災害時緊急支援プラットフォーム」の設立を発表し、コロナ禍での業務の増減に応じた企業間の雇用シェアリングにも取り組む。個人の働き方の変化を促す企業のトップに、コロナ後の働き方の変化や、雇用シェアリングの狙いを聞いた。

吉田浩一郎(よしだ・こういちろう)氏
クラウドワークス社長兼CEO(最高経営責任者)。1974年兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リード エグジビション ジャパンなどを経て、ドリコム執行役員として東証マザーズ上場を経験。2011年にクラウドワークス設立。(写真:加藤康)

新型コロナウイルスの感染拡大で、国内の大企業でもリモートワークの導入が進んでいます。クラウドソーシングなど主力ビジネスへの影響はありますか。

吉田浩一郎・クラウドワークス社長(以下、吉田氏):我々が手掛けるクラウドソーシングの働き手が、コロナ・ショックで急増しています。働き手の登録者数は6月末で380万人を見込んでおり、これは前年同月比で35%増となります。

 業務の発注者は、企業が中心だったのですがコロナ以前から個人の割合が増える傾向にありました。コロナ禍で企業は少し発注をためらっているようですが、個人からの発注は増えている。クラウドソーシングの事業全体で見れば5月に底を打った状況です。

リモートワークの浸透で、コロナ後の働き方は変化していくとみていますか。

吉田氏:社員目線では、大企業であろうとスタートアップであろうとリモートワークの継続を希望するのではないでしょうか。短期的には問題ないと思いますが、中長期的にはデメリットも出てくるとみています。

 リモートワークでは曖昧な話題を出しづらいからです。現行のオンライン会議システムでは、どうしてもそれぞれが考えを一方的に発散する場になりがちです。

変化を起こす判断が難しくなる

 やや古い考えかもしれませんが、これまでは社員のやる気やアイデアといった単純な成果以外のプロセスも評価していました。現状の業務以外のプロセスから新たな発想も生まれたわけです。リモートワークでは成果を測る傾向にあるので、今の業務範囲を超えてさらにキャリアを発展させたい、例えばマネジャーになりたい、新規事業を起こしたいといった、変化を起こす判断が難しくなります。

 コロナ・ショックで今までの前提は崩れました。今後も大企業はリモートワークの活用を続けていくでしょうが、大企業であればあるほど出社を前提とする文化を残す必要がある。フリーランスを支援するというリモートワークの専門家の立場としてもそう思います。

 中小企業であれば他の部署でも知っている人が多いけれども、大企業となるとそうはいかない。新規事業のアイデアを育てたり、部署を越えた連携を考えたりといった曖昧な議論が生まれにくいため、たくさんの人材を抱えている利点を生かせません。この状況が続くと、中長期的に競争力が低下する恐れがあります。

クラウドソーシングというリモートが前提の事業を手掛ける会社のトップの意見としては意外に聞こえます。

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