コロナ・ショックで4~5月の約2カ月間、休業を余儀なくされた百貨店業界。エイチ・ツー・オーリテイリングの運営する阪急・阪神百貨店も4月の全店売上高が76%減、5月は64%減になるなど大きな打撃を受けた。アフター・コロナの百貨店業界でどう生き残りを懸けるのか。日経ビジネスのインタビューに応じたエイチ・ツー・オーリテイリングの荒木直也社長は「オンラインの売り上げを5年以内に全体の10%以上とすることが私の最重要課題」と意気込む。一問一答は以下の通り。

5月下旬以降、都心でも百貨店の全館営業が再開されました。消費者の動きはどうですか。

「5年以内にオンラインでの売上高を全体の10%以上に伸ばしたい」と話す荒木氏(写真:行友重治)

荒木直也エイチ・ツー・オーリテイリング社長(以下、荒木氏):思ったよりも反応はええですね。入店客数が、前年同期の半分くらいに落ち込んでいる一方で、売り上げは2割減程度にとどまっています。おそらく、外出自粛・休業期間にたまっていた購買意欲を発散しに来ている消費者が多いのでしょう。

 「都心に出ていくのはまだ怖い」と思っているお客さんが多いせいか、郊外店の売り上げが予想以上にええんです。全体の売り上げはほぼ前年並みですし、化粧品なんかは営業再開後の1週間は前年比で5割前後、売り上げが伸びました。都心も、それまで売り上げの10%以上を占めていたインバウンドがゼロになった上での2割減なので、最初のお客さんの「戻り」としては上々なんやないでしょうか。

 とはいえ、今は「暮らしを取り戻す」段階であって、「消費を楽しむ」という心境にはお客さんも至ってないようで、ファッション・衣料品は依然として厳しいです。

オンラインでもコミュニティーをつくりたい

ちまたではSNSや動画配信サイトを使って、小売店の従業員がオンラインで商品を紹介する「ライブ販売」の手法が広がりを見せていますね。

荒木氏:単にモノの宣伝・提案だけやとお客さんもついてこないし、コミュニティーだって生まれないですよね。

 阪神梅田本店では2018年から、店員や料理の専門家が売り場の商品を使って、調理を実演するイベントなどを開く「ライブキッチン」を始めています。これを今はオンラインでも実施しています。

 これまでの店頭でのイベントではファンもついて、ある種コミュニティーのようなものも生まれているので、これをオンラインでもつくりたいのです。オフラインと違ったファンやコミュニティーをつくることができると思います。

ライブ販売の様子などを見ていると、店員がユーチューバーのように見えることもあります。モノを売る、というよりもエンターテイナー的な能力が今後は必要になってくるなど、購買行動が変われば、売り手に求められる能力にも変化が出てくるのでしょうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2732文字 / 全文3866文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「論点コロナ・エフェクト」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。