全2922文字

 新型コロナウイルスで雇用が揺らいでいる。人材サービスについて、現在はどのような状況で、アフターコロナではどのように変化していくのか。人材派遣やアウトソーシングを中心に約3万4000人が登録型で就業する総合人材サービスのアデコ(東京・千代田)と、約4000人のエンジニア社員を派遣するVSN(東京・港)の社長を兼務するアデコグループジャパン代表の川崎健一郎氏に聞いた。

川崎健一郎氏。
青山学院大学理工学部卒業後、1999 年VSN入社。 IT事業部部長や常務取締役、 専務取締役を経て2010 年3 月から社長。12 年にスイスに本社を置き60カ国で人材サービスを提供する大手アデコグループがVSNを買収。14 年からアデコ社長を兼務、アデコグループジャパン代表。

新型コロナによる人材サービス業への影響はどのような状況ですか

川崎健一郎氏(以下、川崎氏):新型コロナの状況下、緊急事態宣言下で新たな人材を積極採用するという企業は全体で見れば少なく、4~5月は前年に比べて落ち込んでいる状況だ。IT業種は新しい引き合いも出てきているという意味で強い。

新型コロナの感染拡大によって事業を縮小・停止したり、在宅勤務に切り替えたりといった動きが出てから初めての派遣契約の更新時期を迎えます。

川崎氏:注視している(インタビューは5月15日に実施)状況で、現時点で見通すことは難しい。派遣業界は3カ月~半年の契約期間が多く、6月末は大きな更新時期に当たり、ターニングポイントになる。

 1カ月前の5月末~6月頭に意思決定がそろってくる。7月以降も更新するか、すでに緊急事態宣言の解除に向けて更新を決めた企業、一方で体制縮小を決めた企業もあるが、現時点で圧倒的に多いのが契約をどうするのか決めきれていないというクライアント企業だ。私たちの業界が新型コロナの影響を本格的に受けるのは7月以降になる。

 新型コロナ以前、人材は奪い合いの状況だった。この先5年を見たときに労働力の減少は目に見えている。悲観的に見過ぎて大幅に人材を削減してしまった場合、7~8月はいいかもしれないが、9月から一気に体制を拡充しないといけなくなったとき、一度作ったチームを作り直すには相当なパワーが必要になる。労働力というのは生産を生み出す上で最も重要な要素の1つ。クライアントの各事業者は難しい判断をしているはずだ。

リーマン・ショック時には、非正規社員の雇用問題が目立ちました。今回はリーマン時と比べて、どのように感じていますか。