(都道府県対策本部長の権限)
第二十四条
9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。

感染症の拡大を目前にして、政府と都道府県の間にもめ事を生じさせる、少なくとも、もめ事に見えるような現象を起こさせる建て付けは好ましくない気がします。皆が一致団結して事に当たらなければならないときですから。

木村:確かに違和感はありましたね。休業要請の対象に理髪店を入れるか否かとか、ホームセンターを入れるか否かに、政府の担当大臣が細かく口を出す事態をこの法律は想定していないと思います。「自粛要請をする際に政府に相談しなさい」という条項はありません。繰り返しになりますが、緊急事態宣言は、知事に自粛要請の権限を付与する内容であり、政府対策本部に自粛要請権限があるわけではないのです。

小池都知事がとまどったのも無理はないわけですね。

木村:この法律を運用する過程で不協和音が出てしまったということだと思います。

「休校」と「9月入学」は別問題

感染症拡大という危機に臨んでは、中央集権的な対処の方が好ましい場合もあるのでないでしょうか。新型インフル特措法が知事に権限を付与する狙いは何でしょう。

木村:地域によって抱える問題が異なるからです。例えば、岩手県では依然として感染者が報告されていません。

確かに、同県内の県立高校が一斉臨時休校に入ったのは4月29日でした。休校時期は一様ではないのですね。

木村:はい。東京都は、国内で最多の感染者数が確認されているので、強い自粛要請をしたいでしょう。沖縄県は、いったんは県内での感染拡大は押さえ込むことができましたが、同県を訪れる旅行者からの感染者に対処しなければならない。

そうした地域の実情にあったきめ細かい対応を取れるようにすることが、そもそもの趣旨なのですね。

 その観点からすると、全国知事会の最近の議論には違和感を覚えます。9月入学を政府に認めさせるべく、あえて統一行動をしようとしている印象を受けます。

木村:休校をするかどうか、その期間をどうするか、という問題と、9月入学にするかどうかは、問題の次元が異なると思います。前者は、数週間からせいぜい1~2カ月の期間の話で、地域の事情に応じて決められること。後者は半年以上も影響し、国として統一的な対応を取る必要がある話で、法令上、文部科学省の判断が必要になります。海外の学校制度との関係で、9月入学を求める声がもともとありました。新型コロナウイルスが夏中に解決するというのは、あまりに楽観的過ぎるでしょうし、感染拡大防止にどんな対応が必要かの判断と、9月入学の話は、分けて考えるべきです。

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