新型コロナウイルスが雇用環境に深刻な影響を与えている。一方で、テレワークの浸透で職務が明確化され、日本の雇用が「ジョブ型」になるなど、コロナ禍を機に日本人の働き方が変わる可能性も指摘されている。職務や勤務地が決まったジョブ型正社員という雇用のあり方をかねて提唱する濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構労働政策研究所長に、日本の今後の雇用のあり方を聞いた。

新型コロナウイルスの影響が長期化し、雇用環境も悪化しています。

濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構労働政策研究所長。1983年東京大学法学部卒業、労働省入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東大大学院客員教授、政策研究大学院大学教授などを経て、2017年から現職
濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構労働政策研究所長。1983年東京大学法学部卒業、労働省入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東大大学院客員教授、政策研究大学院大学教授などを経て、2017年から現職

濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構労働政策研究所長:今回の新型コロナウイルスの最大の特徴は、打撃を受けているセクターが、バーや飲食店など小規模で1カ月、お客が来なければ潰れてしまうようなところだということです。リーマン・ショックや、もっと言えばオイルショックのときとは対照的です。雇用調整助成金はオイルショックの頃にできましたが、鉄鋼など重厚長大型の産業の正社員を守ることを前提にした制度です。それゆえ、スピード感がない。

 だからといって、お金をポーンと出せば、モラルハザードになりうる。リーマン・ショックの後、会計検査院に雇用調整助成金の不正受給が指摘されたこともありました。雇用調整助成金以外の支援も必要です。

 ただ、注目すべき動きもありました。今回、雇用調整助成金の要件が緩和され、雇用保険の被保険者でなくても対象になったのです。これは、非正規労働者に対する保護の拡大と見ることができます。日本の伝統的な雇用システムは、正社員と非正規社員を別に扱ってきました。それがここ10数年間で見直されてきており、新型コロナウイルスが後押しする可能性があります。

フリーランスなど、雇用されていない人の保障はどうすればいいのでしょうか。

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