新型コロナウイルスの感染拡大に振り回されたこの1年、これまでとは異なる環境下での経営のかじ取りが求められるようになった。働き方の面では在宅勤務が広がり、いわゆる「ジョブ型」の人事制度への転換を加速する企業も増えた。こうした変化に伴い、幹部人材に求められるものはどう変わってきたのだろうか。経営幹部や専門人材を紹介する外資系人材ファーム(ヘッドハント会社)、米ハイドリック&ストラグルズ(東京・港)の渡辺紀子パートナーに聞いた。

東京大学中国文学科を卒業後、1993年豊田通商入社。中国勤務などを経て2011年に大手エグゼクティブサーチ会社の縄文アソシエイツ入社。15年にハイドリック&ストラグルズに移り、ヘッドハンティング業務を担当。大企業から中堅オーナー企業、成長企業まで幅広くカバーする。
新型コロナウイルスの感染拡大で、経営環境も働き方も変化しました。求められる幹部人材像の変化をどのように感じていますか。
渡辺紀子・米ハイドリック&ストラグルズパートナー(以下、渡辺氏):職種でいえば、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとするデジタル分野は「この人があと10人いればいいのに」というくらいの需要があります。
働き方の変革に伴う社内での業務効率化への対応といった意味でもそうですし、ビジネスのあり方を変えなければならないという背景もあります。お客さんと対面で接しにくい状況になり、例えばアパレル業でもライブ配信などが求められるようになった。キャッシュレス化も進める必要がある。全てをデジタライゼーションしなければならないという環境変化に対応できる人材が求められています。
居酒屋やホテルなどの「このままでは生き残れない」と危機感を持っているような業種では、最高戦略責任者(CSO)のポジションに当てはまるような人材に対する引き合いが強いです。「この立地で何をしたらいいのか」を考えるにあたって、数字を論理的に積み重ねた上で業態転換がいいのか退店がいいのかなどを判断できる人材です。
中でも、オーナー社長の会社が積極的に動く例が目立ちます。生き残りをかけて本気で人材を獲得しようとしています。
反対に、幹部人材として求められなくなったのはどのような人でしょうか。
渡辺氏:明らかにニーズが減ったのは「ゼネラリスト」です。例えば人事部から始まって、海外赴任をして企画部に行くといったような、いわゆるジョブローテーションで何でもできるようになったけれども「何屋」なのか分からない人です。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1907文字 / 全文2833文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「論点コロナ・エフェクト」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?