航空需要の回復ペースが鈍い。緊急事態宣言が解除された10月以降、空港には徐々ににぎわいが戻りつつあるが、最繁忙期の年末年始の各社の予約座席数はコロナ禍前の水準に届かない。背景にあるのは新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の存在ではない。観光業界を助けるはずの「あの」政策の動向が大きく関わっているようだ。

12月中旬の平日。那覇空港を訪れると、スーツケースを引く多くの人々でにぎわっていた。沖縄のソウルフード「ポークたまごおにぎり」を売る店舗には長い行列が伸びる。空港や街中には関東や関西からやってきた修学旅行生の姿も。前回、沖縄を訪れたのはベストシーズンが終わりかけの9月末だが、この時に比べると空港や街の風景は明らかに異なる。
2021年秋に入り、国内の新型コロナの感染者数は急減した。年初から断続的に発令されてきた緊急事態宣言も10月に解除された。風景の違いは明らかにこの事実に起因している。しかし、需要の回復ペースは航空会社の期待を少し下回るようだ。
「第3四半期(21年10~12月)の国内線需要はほぼ想定通り」。12月10日、東京・天王洲アイルの本社で会見を開いた日本航空(JAL)の赤坂祐二社長は手応えを示したあと、こう二の句を継いだ。「いや、若干(想定を)下回っているかもしれない」
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この記事はシリーズ「高尾泰朗の「激変 運輸の未来図」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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