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 ANAホールディングス(HD)は27日、大型機を中心とした機材の削減など事業構造改革の骨子を発表した。目を引いたのがLCC(格安航空会社)との連携策だ。子会社のピーチ・アビエーションとコードシェア(共同運航)に向け検討に入ったほか、国際線で新たなLCCブランドを立ち上げる。航空大手は新型コロナウイルスの影響で、資金繰りなど財務面だけでなく幅広いグループ戦略の見直しを迫られている。

ANAHDは大型機の削減などの事業構造改革案を発表した(成田国際空港)

 「大変厳しい結果になった」。27日、ANAHDの片野坂真哉社長は上期(4~9月)を振り返ってこう話した。7~9月期の売上高は1702億円、営業赤字は1218億円と4~6月期の1216億円、1590億円から改善したものの、国内線は7~8月の新型コロナウイルスの「第2波」ともいえる感染拡大の影響で思ったほど回復しなかった。国際線も、座席供給量は前年同期に比べ8割以上減ったままで、4~9月の旅客収入は196億円と地をはうような数字だ。

 ANAHDの21年3月期の最終損益は5100億円の赤字となる見通し。片野坂社長は「2期連続の赤字は避けたい。来期はあらゆる手を尽くして必ず黒字化を実現する」と語る。赤字が膨らんだため自己資本が大幅に減少。日本政策投資銀行や、三井住友銀行など民間金融機関から計4000億円の劣後ローンを受け入れることを決めた。

 事業規模を縮小せざるを得ず、21年3月期中に大型機を中心として35機を退役させる。加えて、導入予定だった機材の受け入れを遅らせる。これにより、21年3月末の保有機数は計画から1割(33機)減る。5000億円を超す赤字の中には、機材削減などに伴う1100億円もの特別損失が含まれている。

 路線網も縮小に向かう。現在8割以上が運休している国際線は、今後、需要の回復が見込みやすい羽田空港発着の路線を優先して再開する。成田、中部、関西空港発着の復便は需要動向を見ながら判断する。20年3月に羽田の国際線の発着枠が拡大し、ANAは発着枠拡大前の46都市から51都市へと就航地を拡大する計画だった。需要低迷が長引くとみられる都市については撤退の可能性もありそうだ。

 国内線は羽田・伊丹空港の発着を中心とした高収益路線に期待しているが、それでも機材を小型化して座席の供給数を減らす。今回、撤退する路線について具体的な言及はなかったものの、地方から地方までを直接結ぶ路線では恒常的な減便・撤退が考えられる。ANAHDの関係者は路線縮小の方向性について「現在の減便計画がベースとなっていくだろう」と話す。新千歳空港から富山、小松、静岡、広島を結ぶ路線などでは全便運休が続いている。

 ANAHDの事業規模の縮小に伴い、傘下のLCC、ピーチ・アビエーションとの連携を強化することも改革の目玉になる。

 10月25日、成田空港第1ターミナル。「南ウイング」1階にはANA国内線のカウンターがあるが、そこに新たに掲げられたのはピーチのロゴが印刷されたボード。ピーチは19年後半から利用してきたLCC専用の第3ターミナルを引き上げ、この日から第1ターミナルを利用し始めたのだ。