「耐空性売却」か「部品取り」か

 航空機の売却方法は主に二つある。一つは「耐空性売却」と呼ばれる、買い手などが引き続きその機体を使って運航するという前提での売却だ。もう一つは「部品取り」。買い手が購入した機体を分解し、部品ごとに売却先を見つけたり買い手自身が再利用したりする。買い手は多岐にわたる。

 耐空性売却であれば、他の航空会社のほかリース会社などが候補に上がる。部品取りであればこうした企業だけでなく、中古部品を扱う商社や航空機部品のメーカー、整備を専門で手掛けるMRO(整備・補修・オーバーホールの頭文字)事業者なども売却先として視野に入る。

 航空機として引き続き運用してもらう耐空性売却の方が売却額は高くなりやすいが、経済合理性の観点から一概に良いとも言えない。最も詳細な点検である「重整備」などが引き渡し前に必要なケースがあるほか、点検や整備などの記録を部品ごとにそろえることが求められる。売却準備のコストがかさみやすいわけだ。細かい諸条件を考慮しながら、最も経済的なメリットが大きくなるように売却先を決める必要があった。

 あらゆる航空会社が需要減に苦しむ中、保有機材数を増やそうとする買い手はほぼいなかった。結果的に耐空性売却が実現したのは、ボーイングのロングセラー中型機「767」2機のみ。しかも買い手はその機体に手を加え、貨物専用機として活用するという。本丸の777は旅客機から貨物機への改修実績がないため転用目的の需要はない。部品取りの買い手を見つけるしかなかった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1887文字 / 全文3947文字

【初割】月額プランが3月末まで無料

人気コラムも、特集もすべての記事が読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「高尾泰朗の「激変 運輸の未来図」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。