宅配大手が消費者宅までの「ラストワンマイル」に、ロボットを活用しようと公道での実証実験を進めている。日本郵便は10月下旬まで、ロボットベンチャーのZMP(東京・文京)が開発するロボットを使った実験を実施する。ヤマトホールディングス(HD)やSGホールディングス(HD)も実証実験に取り組む計画。ロボット配送の目的はこれまで物流業界の人手不足にあったが、新型コロナウイルスの感染拡大で「非接触」のニーズも出てきた。政府も数年内の実用化に向け法整備などで後押しする方針だが、最大の壁となりそうなのが効率性だ。

日本郵便は都内でZMPのロボットを使った公道での走行実験を進めている(10月7日、東京・千代田)

 「これから配達に行ってきます」――。こう言って動き出したのは、人ではなくロボットだった。日本郵便は7日、東京都千代田区で配送ロボットの公道での実証実験を公開した。実験に使ったのは2017年から共同開発に取り組んできたZMPのロボット「デリロ」。この日は東京逓信病院内のコンビニで預かった荷物を約700m先の麹町郵便局まで歩道を走行して配送した。

 デリロは縦幅と高さが100㎝前後、横幅は66㎝。レーザーセンサーやカメラで周囲の状況を把握し、3Dマップを照らし合わせて走行する。通行人や自転車などがロボに一定程度近づくと自動で止まる機能もある。この日の実験でも、横断歩道の前で一時停止したり、電柱や植え込みなどを避けたりしながら走行していた。

 ラストワンマイルの業務を担うロボットは人手不足に悩む物流業界を助ける役割を期待されてきたが、「非接触」宅配への活用にもニーズがありそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに「置き配」など配達スタッフが利用者に直接荷物を受け渡さなくて済む宅配方法が浸透し始めている。ただ、防犯などの観点から直接荷物を受け取りたいという需要も多い。日本郵便の実験では、家にロボットが到着し、利用者がスマートフォンをかざすと荷物を受け取れる仕組みを取り、セキュリティー面を担保している。

 政府もコロナ禍を受け、配送ロボットの実用化を後押しし始めた。7月に閣議決定した「成長戦略実行計画」の中では「低速・小型の自動配送ロボットの社会実装に向けて、『遠隔監視・操作』型の公道走行実証を年内に可能な限り早期に実現し、その結果を踏まえ、早期に制度設計の基本方針を決定する」としている。これを受け、宅配大手による公道でのロボットの実証実験が一気に進み始めた。SGHD傘下の佐川急便はソフトバンクと組み、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環として東京・竹芝エリアで実証を始める。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトHDも同様に実験を始める見込みだ。

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