外部出向というアイデアが社員に伝わった20年秋、社員たちには動揺が広がった。
「そこまで深刻な経営危機なのか」。羽田空港の国際線を担当するグランドスタッフである平塚柚は、外部出向の話を初めて耳にしたとき、こんな思いを抱いた。平塚も、従来は4勤2休だった勤務体系が一時は2勤4休になるなど、一時帰休を繰り返していた一人だ。社内ではトップの片野坂が繰り返し財務状況を社員に伝えてもいた。それでも、社員を大量に外部に出向させるという異例の施策に迫られるほどだとは実感できていなかった。ここまでしなければ雇用を守れないという自社の現状に、社員たちはあらためて危機の大きさを感じた。
ただ、平塚はグランドスタッフ10人ほどのチームを束ねる立場。一時帰休の頻度も部下たちの方が高かった。「もし外部出向になったら、どんな声をかけてあげればいいのだろうか」。部下が出向するのを見送る立場になると思っていた。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1070文字 / 全文2620文字
-
【締切迫る】初割で3月末まで無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【初割】月額プランが3月末まで無料
人気コラムも、特集もすべての記事が読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「高尾泰朗の「激変 運輸の未来図」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?