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新型コロナウイルスの感染拡大による旅行や出張の自粛に苦しむ航空業界に復調の兆しが見えた。9月の4連休「シルバーウイーク」は満席となった航空便も多く、羽田空港にもにぎわいが戻った。航空各社は「Go Toトラベル」で10~11月を乗り切りつつ、次の多客期である年末年始には「マイル」の利用も促しながら旅客数の回復を図る方針だ。

連休初日となった9月19日朝の羽田空港第2ターミナル。当日のANA運航の下り便はほぼ満席となった

 「うれしいの一言。これだけの人々が空港を訪れている姿を見るのは久々だ」。4連休初日となった9月19日。混雑する羽田空港第2ターミナル内で取材に応じた全日本空輸(ANA)の井上慎一専務はこう漏らした。

 ANAグループでは、4連休(19~22日)の国内線の搭乗率が平均で7割を超え、1日平均の旅客数は7.2万人に達した。8月7~16日のお盆期間が平均4.8万人、4月29日~5月6日のゴールデンウイーク(GW)が平均6000人だったことを考えると明確な回復傾向にあるといえる。日本航空(JAL)もお盆は37%、GWは15%だった国内線の搭乗率が4連休中、平均で68%に達した。

 回復に転じた最大の要因は、新型コロナの感染拡大が一服したと利用者が考えるようになったことにある。全国の新規感染者数が7月下旬から8月上旬にかけて山を迎え、減少傾向にあるためだ。新規感染者数は依然として多い水準にあるとはいえ、4連休は各地の高速道路で渋滞が発生し、新幹線など鉄道の利用率もお盆より高かった。

 新規感染者数の減少とともに航空各社の予約数は右肩上がりに増えてきた。その流れが、東京発着の旅行が「Go Toトラベル」の対象に加わったことで加速した。「東京追加」の方針が示された9月11日を境に予約数が急激に増えている。ANAの場合、9月12日からの1週間で新たに入った10月搭乗分の予約数が、9月11日までの1週間の1.8倍になった。11月搭乗分に至っては同じ期間の比較で3.5倍に伸びたという。

年末年始に特典航空券の利用を可能に

 「期待感は大きい」。ANAの井上専務は「Go To」についてこう話し、「10~11月にしっかり(観光を)盛り上げて、(次の多客期である)年末に向かいたい」と力を込める。そんな中、ANAとJALが年末年始の航空需要を下支えする存在として期待するのがマイレージサービスだ。背後には会計基準の変更という事情も見え隠れする。