「ビジネスパーソンを中心に国際線の予約が急激に増えている」。9月7日、羽田空港で報道陣にこう語ったのは日本航空(JAL)の担当者だ。同日、政府は新型コロナウイルスに対する水際対策を大幅に緩和。従来、1日当たり2万人としていた入国者数の上限を5万人に引き上げた。さらに、日本入国時に必要だった陰性証明書は、条件付きで不要となった。

水際対策の緩和を受け、街でも外国人観光客の姿をちらほら見かけるようになった(9月11日、東京・台東の浅草寺、写真:つのだよしお/アフロ)
水際対策の緩和を受け、街でも外国人観光客の姿をちらほら見かけるようになった(9月11日、東京・台東の浅草寺、写真:つのだよしお/アフロ)

 日本入国時の手続き負担が減り、そして現地滞在中にコロナ感染が判明して帰国が遅れるなどといった懸念も薄まったことで、ビジネス・観光客から「安心して海外に行けるという声を聞いている」と全日本空輸(ANA)の小山田亜希子執行役員は語る。結果、9月7日時点でANAやJALの10月の国際線予約数は緩和発表前の約2倍に増加、日本発の国際線は2~6倍に増えているという。

 インバウンド(訪日外国人)需要の回復には、一部の国と地域を対象とした「ビザ免除措置の再開が欠かせない」(航空大手首脳)との声も上がる。そこで政府はさらなる対策の緩和として入国者数の上限撤廃のほか、短期滞在でのビザ取得の免除も検討しているようだ。「鎖国」とも評された日本の厳格な水際対策に終止符が打たれる時は刻一刻と迫っている。

 ただ、一連の緩和策が実行に移されたとしても、2010年代のような「インバウンド特需」が日本に再来するかは不透明だ。

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