2021年3月期の営業赤字幅が300億円を超え、今期中の債務超過の可能性もあったスカイマークは9月下旬、増資などで総額40億円を調達する。融資元の金融機関が求めていた規模と比べると半分以下の調達額となるが、業界関係者からは危機の山は越えたとの声が聞こえてくる。

 スカイマークは既存株主の出資比率に応じて新株を割り当てる株主割当増資で20億円を調達する。筆頭株主の投資ファンド、インテグラルが約10億円、三井住友銀行・日本政策投資銀行(DBJ)が折半出資するファンドが7億円弱、ANAホールディングス(HD)が3億円強を追加出資する形だ。

 スカイマークの財務状況には黄信号がともっていた。21年3月期は売上高が前の期に比べ6割以上減った340億円となり、営業損益は316億円の赤字に沈んだ。実質的な税金の前払い分である「繰り延べ税金資産」を計上したことで最終赤字は163億円に圧縮したものの、純資産は104億円まで目減りし、自己資本比率が約12%まで低下していた。

スカイマークは9月下旬、株主割当増資と日本政策投資銀行からの劣後ローンの受け入れで総額40億円を調達する
スカイマークは9月下旬、株主割当増資と日本政策投資銀行からの劣後ローンの受け入れで総額40億円を調達する

 21年4~6月期も東京都などを対象とした緊急事態宣言が発令され、搭乗者数はコロナ禍前の19年同期と比べ半分以下となった。搭乗率も損益分岐点を下回るとみられる4割台を推移した。一旦解除された東京都への緊急事態宣言は7月中旬から再度発令され、足元の需要回復も力強さを欠く。一定程度の赤字を計上するのは避けられない情勢だ。

 7月には300億円の融資の返済期限が迫っていた。借り換えを実現するためには、財務状況の改善が必要で、増資は不可欠だった。

お盆の予約数、6割増に

 これまで、スカイマークに融資する金融機関の一部が100億円規模の増資を求める中、インテグラル内では現状のスカイマークに資本を入れても、将来再上場した際の上場益が小さくなるだけで、投資家からの支持も得られないとの考えから増資に否定的な意見があった。(参考記事:苦境のスカイマーク(下) 100億円の増資視野、さらに残る2つの課題

 そこでスカイマークは増資の規模を20億円に抑え、さらに20億円を株主でもあるDBJから劣後ローンで調達することにした。劣後ローンは通常の融資に比べ金利が高いものの、返済順位が低いため資本性がある。スカイマークの劣後ローンは格付け上、全額が資本として認められる見通しだ。

 それでも資本増強の規模は金融機関が求めていた額の半分以下だ。これまでの赤字幅を鑑みれば、40億円の資本増強は債務超過回避に向けた数カ月の「時間稼ぎ」にしかならない。ただ、業界内ではこの資金調達で「危機は脱しつつある」との見方が大勢だ。

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