宅配大手が消費者に荷物を届ける「ラストワンマイル」の業務をAI(人工知能)で効率化する。SGホールディングス(HD)傘下の佐川急便は東京大学発のAIスタートアップなどと組み、今秋から再配達を減らす実証実験を始める。遅配が各地で続出するなど「宅配クライシス」が露呈してから2年半。EC(電子商取引)の拡大で荷物数は増え続け、新型コロナウイルスの流行を背景とした「巣ごもり消費」はその傾向に拍車をかける。宅配網はひっ迫しており、日本郵便やヤマト運輸もテクノロジーの活用を急いでいる。

佐川急便の本村正秀社長(中)は日本データサイエンス研究所などと組み、再配達を減らす技術の実証実験を実施すると発表した(7月9日、東京都江東区)

 「業界の課題である労働環境の改善などが期待できる画期的なソリューションだ」。佐川急便の本村正秀社長がこう説明したのは、各家庭の電力データをAIが分析し不在配達を減らす技術だ。同社は東大発スタートアップの日本データサイエンス研究所(東京・文京)や、東京電力ホールディングスとNTTデータが2018年に設立したグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(東京・千代田)、さらに東大大学院などと今秋から3カ月ほど、神奈川県横須賀市内で技術の実証実験を実施する。

 全国の家庭には2024年度までに「スマートメーター」と呼ばれる通信機能を持った電力計が設置される計画だ。日本データサイエンス研究所は、家庭の電力使用状況を分析して在宅なのか不在なのかを予測するAIを開発してきた。これを使い、東大大学院の越塚登教授・田中謙司准教授と、再配達や車両の走行距離を減らすための最適な配達ルートを示すシステムの開発に取り組んできた。実際に佐川急便が担う宅配に活用するのが今回の実験で、100~200世帯ほどが参加する見込みだ。

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