新型コロナウイルス禍が引き起こした「海運バブル」が終息に向かい、日本郵船と商船三井、川崎汽船の海運大手3社も2024年3月期に前期比8割前後の大幅な経常減益を見込む。主な要因が、3社で共同出資するコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」の運賃下落で、ONEの今期の税引き後利益について3社は12億ドル(約1600億円)前後と予想する。これは前期比で9割以上の大幅減となる数字だが、コロナ禍が本格化する前の20年3月期比では11倍の水準。市況がコロナ禍前に戻りつつある中、なお高水準の利益を見込む根拠は何か。
「コンテナ船事業にリスクを感じている方が多いのは分かるが、我々としてはこれぐらいの利益は上げていきたい」。4月末に開いた投資家向け決算説明会で、商船三井の幹部はこう語った。ONE自体は今期の業績予想を「市場のさらなる変化が想定され、予測が難しい」として未定にしているが、出資する3社は各社の連結業績予想の前提として、ONEが12億ドル前後の税引き後利益を上げると想定している。

日本郵船と商船三井は今期の経常利益を2000億円、川崎汽船は1300億円と予想する。いずれも前期比では8割前後の大幅減益だ。ただ、20年3月期実績で3社のうち最も経常利益が大きかった商船三井が550億円だったことを考えれば、今期の業績予想は歴史的に見てなお高い利益水準と言える。
3社の業績予想を見ると、ONEから得る持ち分法投資利益の存在感はなお大きい。ONEに31%を出資する商船三井と川崎汽船は今期のコンテナ船事業の経常利益を500億円(前期はそれぞれ6201億円と6074億円)、38%を出資する日本郵船はコンテナ船を中心とした定期船事業で690億円(同7913億円)と想定する。各社の経常利益予想額の25~38%を占める規模だ。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1626文字 / 全文2411文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「激変 運輸の未来図」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?