ロシアによるウクライナ侵攻が日本の航空会社に影響を及ぼし始めた。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は3月3日に出発予定だった欧州発着の全便を欠航した。4日に一部路線で運航を再開したものの、状況は流動的だ。またJALはモスクワ発着便の欠航を決めたほか、一時的に欧州航空会社とコードシェア(共同運航)する路線を自社の単独運航に切り替えている。旅客の流動は限定的な一方、日欧間の航空貨物需要は高いだけに、サプライチェーンに混乱が生じる可能性もある。

ウクライナ危機が航空網に影響を及ぼし始めた。特に貨物事業への影響は必至だ
ウクライナ危機が航空網に影響を及ぼし始めた。特に貨物事業への影響は必至だ

 「何よりも、安全運航を担保できることが大前提」。3月2日、記者団にこう語ったのはANAの平子裕志社長だ。同社は2日夜、3日に出発する羽田―独フランクフルト線の旅客便1往復と、欧州を発着する貨物便6便を運休すると発表した。JALも3日に出発する欧州発着便計8便を欠航とした。

 ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、欧州各国とロシアは互いに領空内の飛行を禁止した。日本の航空会社は飛行禁止の対象となっていないが、日欧間の航空便のルート上にはロシア領空が含まれる。緊迫する情勢を見極めた上での決断となった。

 4日以降はロシア領空を通らないルートでの欧州便の運航を模索する。かつての冷戦時は欧州便の運航に米アラスカ州・アンカレジを経由する「北回り」ルートが多く使われたが、ANAはこの航路を使うのは難しいとの立場。緊急時の着陸先の確保などの問題があるためだ。そこで順次、欧州便をロシアの南側に迂回するルートに切り替えていく。

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