縁遠かったコミュニティー同士をビデオ通話アプリで橋渡しする取り組みが始まった。日本のシニア層が、在留外国人などの日本語学習者の話し相手になる。コロナ禍で人間関係が希薄になりがちな中、「孤独」を防ぐ仕組みとして自治体も熱視線を注ぐ。

アクティブシニアが日本語を学習中の外国人の話し相手になる
アクティブシニアが日本語を学習中の外国人の話し相手になる

 「日本語の勉強を始めてどれくらいになりますか」「好きな日本の食べ物は何ですか」。ビデオ通話機能を使い、画面越しに日本語でこんな会話を繰り広げていたのは、日本人のシニアとインド出身の在留外国人だ。

 2人が使っていたのは、スタートアップのHelte(ヘルテ、千葉県柏市)が提供する異文化交流アプリ「Sail(セイル)」。在留外国人や海外に住む日本語学習者に対して、日本の一般の利用者が話し相手となるサービスだ。ゴミ出しや通院の方法など、日常生活のちょっとしたことも相談できる。

 アプリ上で会話する日程を予約でき、「読書」「芸術」など自分が興味のあるテーマに応じて会話の相手をマッチングしてくれる。語学学習をうたうサービスではないため、日本人側に語学指導の経験は不要。1回の対話でやらなければいけないことも決まっていない。利用する80代の男性は「技能実習生から大学生まで、幅広い海外の人とアプリ上で気軽に話ができる」と話す。

 料金は日本語を学習する外国人が月額14.9ドル。日本人の利用者には金銭的な負担はない。既に海外の大学や日本語に興味のある個人など約1万人の外国人が利用しているという。登録している外国人は中国やインド、東南アジア、欧州など幅広い。

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