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新型コロナウイルスの感染拡大により、「Stay Home(ステイホーム)」が定着しつつあるがが、デジタル空間でも変化が起きている。SNS(交流サイト)では人とのつながりを求めるものから、自分と趣味嗜好の似たユーザーが集まるコミュニティーでの買い物やサービスを楽しむようになった。デジタルマーケティングに詳しいLIDDELL(東京・渋谷)の福田晃一社長に、コロナ後のデジタル空間の変化について聞いた。

福田晃一(ふくだ・こういち)氏
1979年高知県生まれ。エンターテインメントを取り入れた独自のマーケティング方法を考案し、ツインプラネットを創業。デジタルとSNSの可能性に着目し、2014年にインフルエンサーマーケティングを手がけるLIDDELL を設立した。2万人のインフルエンサーが直接企業と取引するサービス基盤など、SNSを活用したプラットフォームを多数開発する。著書に『買う理由は雰囲気が9割』(あさ出版)、『影響力を数値化 ヒットを生み出す 共感マーケティングのすすめ』(日経BP)など。(取材および撮影は社会的距離を保った上で実施しました)

新型コロナウイルスの感染拡大で、SNS(交流サイト)などの利用者の行動はどのように変化しますか。

福田晃一・LIDDELL社長(以下、福田氏):SNSのアカウントが「家」になりつつある。これまでSNSは人と人のつながりを求めることが多かった。新型コロナの影響により自宅で過ごす時間が増え、SNSのアカウントを起点にして買い物や動画、音楽を楽しむ人が増えた。

 例えばインスタグラムを見て、ぽちっと買い物の購入ボタンを押すなどが挙げられる。自分のアカウントが「家」になって、ショッピングやオンライン英会話など様々なサービスへアクセスする。より深い内容、知りたい内容があれば、専門サイトへ「出かける」というイメージだ。

 現実世界は常に選択肢が多く、インターネット空間も多様な情報があふれ、ユーザーは選べない状態。SNSでは自分と趣味の似ているコミュニティーが形成され、そこを行き来すれば情報収集から買い物まで、より簡単に済ませられるようになる。どこか知らないコミュニティーへ出かけるという面白さはあるとはいえ、デジタル空間でも「ステイホーム」のように自分の近い場所で行動するようになるのではないか。

SNS上では情報を発信する「インフルエンサー」の存在は無視できないものとなっています。今回のコロナを受けてデジタル空間での影響力はより強くなるのでしょうか。

福田氏:もともとインフルエンサーは体験情報を伝達することで、フォロワーを獲得してきた。コロナによりリアルの場での体験イベント、ファッションイベントが減り、打撃を受けるインフルエンサーも少なくない。

 ただし、自分がもともと何を伝えたかったのかということに立ち返り、素早く切り替えられるインフルエンサーは強い。例えば、おしゃれなカフェをインスタグラムで投稿していたあるインフルエンサーのケース。彼女はカフェタイムを楽しむことを共有したかったから、SNSへ投稿し、インフルエンサーになった。外出自粛要請を受け、「自宅でも楽しめるカフェタイム」といった投稿へ切り替えた。誰かに指示されたわけでもないが、こうした社会へ耳を傾ける「ソーシャル・リスニング」ができるインフルエンサーの影響力は強くなるだろう。