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 新型コロナウイルスの影響で人との接触機会を減らすことが求められる中、在宅勤務を導入する企業が増えている。ただ、顔の見えない環境は、社員のモチベーションや生産性維持が課題になる。経団連の中西宏明会長は2019年から、働き手がやりがいをもって仕事に打ち込める「エンゲージメント」を高めることが重要との考えを示していた。「エンゲージメント」は組織への共感・信頼や自己の成長実感により高まり、「働きがい」といった意味合いで用いられる。そうした働きがいを重視してきた企業に、コロナ禍への立ち向かい方を聞いた。

 調査機関GPTW(Great Place To Work)による2020年の「働きがいのある会社」ランキング(従業員100~999人部門)で3年連続1位(従業員100~999人部門)を獲得している出張・経費管理クラウドサービスを手掛けるコンカー(東京・中央)。コンカーは新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃から在宅勤務を推奨し、東京都への緊急事態宣言に合わせてオフィスへの出社を禁止、客先への訪問も含めて業務上の外出を禁止した。

 ただ、三村真宗社長は「どちらかというと、在宅慎重派だった。社員との絆が希薄化するデメリットが多いと考えていたため、リモートワークによって、働きがいが阻害されるのでないかと心配していた」と明かす。

出張・経費管理クラウドサービスを手掛けるコンカーの三村真宗社長

 しかし、同社が5月1日に実施し社員147人(社員数275人)から回答を得た調査では、在宅勤務の実施で、新型コロナ以前よりもモチベーションが「大きく上がった」「上がった」と回答した社員が28%、「変わらない」と答えた社員が67%と、9割超の社員が同等かそれ以上のモチベーションを感じていることが分かった。生産性についても、「大きく上がった」「上がった」と回答した社員は35%、「変わらない」と回答した社員が45%で、8割の社員がリモートワーク開始前と同程度以上の生産性を維持していた。

 さらに、リモートワーク開始前と比べて、在宅勤務であっても「不安感や孤立感を感じた」と回答した社員の割合も37%から8%に減少していたという。

 三村氏は今では「むしろ、今後はリモート先進企業を目指したい」との考えに至ったという。新型コロナ対策で在宅勤務に移行したことで、モチベーションなどの向上に成功したのだ。

 在宅勤務への移行をモチベーション向上になぜ、生かせたのか。