新型コロナウイルスの感染拡大による影響で「雇用クライシス」が顕在化し始める中、企業はどのように雇用を守ったらよいのか。急成長を否定し、終身雇用と年功序列を守っている伊那食品工業の塚越寛最高顧問に話を聞く。塚越氏は、トヨタ自動車の豊田章男社長が“師”と仰ぐ人物である。ゆっくりと、確実に成長を続ける「年輪経営」を標榜し、創業以来48期連続増収増益という偉業を達成した経験のある塚越氏の目には、「コロナ・ショック」はどのように映っているのだろうか。
第1回:新型コロナの“需要消滅”が招く雇用危機、「倒産する」悲鳴続々
第2回:新型コロナで工場休止 トヨタ、日産の城下町で見た雇用危機

これまでリストラを一度もしたことがありません。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、多くの企業がリストラを始めるのではないかとの懸念が出ています。
塚越氏:従業員を解雇することはこれまでなかったし、これからもありません。どんなに苦しくとも、経営者の責任として一度採用した以上はその人の幸せを考え、雇用し続けるのが当然です。
企業は何のために存在しているのか。この点について勘違いしている人が多いですね。企業の目的は経営者の虚栄心を満たすことではなく、いい会社にして皆で幸せになることこそが目的です。だからこそ、経営者は人間としてどう生きるのが正しいのか、それにともなって会社はどうあるべきかを考えなければなりません。

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