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緊急事態宣言に伴う営業自粛要請で飲食店などが大打撃を受けている。写真は4月8日の新宿・歌舞伎町

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、雇用に及び始めている。最初に「雇用クライシス」が顕在化しているのが、感染防止のための外出自粛の影響を直接受けている、飲食店などサービス業の小規模事業者だ。政府は緊急経済対策で実質無利子・無担保の融資や雇用調整助成金の拡充、給付金などを用意し、中小企業の経営悪化による雇用リスクを抑えようとしている。だが、現場では何が起きているのか。

「給料が払えない。辞めてほしい」と頭を下げた

 東京都内でワインレストランなど数店舗を展開する外食企業は3月末、1店舗を残して閉店・休業することを決めた。再開する見通しは立っておらず、社員やアルバイト約50人に、男性幹部は「4月分の給料は払えない。辞めてくれと頭を下げた」と明かす。

 異変が始まったのは2月末の安倍首相の休校要請からだった。一気に消費マインドが冷え込み、3月の売上高は5割減った。

 タイミングも最悪だった。同社は、12月と花見や歓送迎会がある3~4月で年間利益の半分近くを稼いでいた。閉店しようにも原状回復の費用が1000万円以上かかるため、現在は休業中の店舗を売却する道を探る。

 仮に2000万~3000万円の融資を受けられれば、2~3カ月持ちこたえることはできるが、「テレワークの普及でコロナが収まっても外食産業がV字回復する現場感覚が全くない。デリバリーもウーバーイーツなどに3~4割のマージンをとられてきつい」とあきらめ顔だ。

 社員だけでなく、学費を稼ぐアルバイトや、店舗運営を支えてくれたフリーターの生活は厳しくなる。男性は、「ごめんなさいとしか言いようがなかった。1月末でコロナが食い止められていれば。今思えば、店舗を増やさなければよかった」と漏らす。