国鉄が分割民営化されて35年。JR各社では今年、1985年卒の新社長が3人生まれるなど、国鉄時代をほぼ知らない“JR世代”が経営を担う時代に入った。5回目に登場したJR東日本の市川東太郎副社長は「ワンマン運転や自動運転で鉄道事業のコストを下げていく」と述べた。それを支える技術開発を担うのが、イノベーション戦略本部長の伊勢勝巳副社長。88年入社の伊勢氏に、次世代の鉄道ビジネスを支える技術革新について聞いた。

長年、保線分野の業務に携わってきました。昼間は営業列車が走っていますので、歩いて線路のゆがみを調べたり、保線作業をしたりするのは主に夜中。夜ばっかりの仕事というのは労働環境が厳しく、なかなか人が集まらないのです。
そこで今、私が「世界一の線路のレントゲン」と呼んでいる技術に挑戦しています。営業列車に取り付けた加速度センサーとカメラで線路の変化を検測する取り組みです。加速度を2回積分すると変位、つまり線路のゆがみが分かります。ボルトが緩んでくるとナットの高さが上がりますが、これは車体の床下に取り付けた距離を測定できるカメラ(プロファイルカメラ)と濃淡が分かるカメラ(ラインセンサーカメラ)の画像で判定できます。これらのデータで悪い部分を見つけて、現地で確認をすることで検測の効率を上げられます。
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コロナ禍、人口減、鉄道を襲ういくつもの苦難。それでも、現場のハートは燃えている! 鉄道が担う公共交通という役割を残し、守ろうと奮闘する現場の人々の思いを追って、日経ビジネスの「鉄」記者が自ら駆け回ってきました。人気連載「佐藤嘉彦が読む鉄道の進路」をついに書籍化! 日本全国の鉄道の、現場の挑戦、苦闘、そしてトンネルの向こうを目指す生の声を伝えます。
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