これまで4回にわたって鉄道各社の荷物輸送への取り組みを紹介してきた。実は、鉄道が運べるのは旅客と荷物だけではない。線路の脇には信号機などを制御するための通信ケーブルが敷かれており、データ通信にも使える。すでに通信事業に取り組んでいる私鉄各社に続き、JR西日本もこの事業に参入。これまでコストセンターだと思い込んできた資産が、新たな収益を生み出し始めた。輸送収入の落ち込みをあの手この手で補うには、すべての鉄道員が“稼ぐ”意識を持つことが求められている。

 JR西日本と、阪急電鉄、阪神電鉄を傘下に持つ阪急阪神ホールディングス(HD)が相互乗り入れを始めた――。そう聞いても、関西に住む多くの人は「そんなことはありえない」と思うだろう。JR西と阪急阪神は、大阪から京都、神戸、宝塚との間で並行して走り、戦前からのライバル関係。そもそもJRの在来線と阪急阪神はレールの幅が異なるため、物理的に乗り入れることができない。

 2021年10月から相互乗り入れを始めたのは電車ではない。目には見えない「データ通信」だ。JR西が新たに設立した子会社・JR西日本光ネットワークと阪急阪神HD傘下の阪神ケーブルエンジニアリングが、大阪梅田、西九条、神戸、宝塚の4地点で双方の光ファイバー網を接続。線路沿いに光ファイバーを敷設してきた両社が連携したことで、近畿地方から中国地方、九州地方の一部をカバーする広域ネットワークが完成した。JR西の倉坂昇治副社長は「光ファイバー通信事業は数十億円の売り上げが見込めるビジネスになる」と期待する。

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この記事はシリーズ「佐藤嘉彦が読む鉄道の進路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。