JR東ではこれまで、運行ダイヤも、駅も、車両も、旅客輸送だけを考えてつくられていた。認可上の制約は多いが、荷物輸送も考慮した形に変えていかなければ大きなビジネスに育てることは難しい。大宮駅での5分間停車は小さなようでいて、殻を破る大きな第一歩と言えるだろう。大宮駅は東北・北海道新幹線と上越・北陸新幹線が分岐する要衝でもあり、ここを物流拠点化できれば、首都圏向けだけでなく、東北と信越・北陸とをV字型に結ぶ新たな物流ルートの開拓にもつながる。浜田氏は「今は既存の資産を活用したスモールスタートの段階だが、確かなニーズが見えてくれば、追加投資も考えることになる」と話す。そのために、さらなる需要の獲得へ汗をかき続ける。

 これまで紹介してきた荷物輸送の取り組みは、いずれも新幹線の速達性を生かした長距離輸送だ。しかしコロナ禍では、短距離の鉄道路線も通勤輸送など日常利用の減少に苦しんでいる。次回は、乗客と荷物が客室で“共存”することが日常の風景になりつつある、東武鉄道とJR西日本の農産物輸送を紹介する。

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