新幹線での輸送は、停車時間に余裕がある始発駅で積み込み、終着駅で降ろすのが原則。首都圏では東京駅ということになるが、小売業者の配送拠点が都心の一等地にあるはずもない。立地しているのは郊外の高速道路沿いなどで、「東京駅から埼玉県の物流拠点に運ぶこともあった」(浜田氏)。途中の大宮駅で荷物を降ろせないかという声が少なくなかったという。これが、冒頭で紹介したダイヤ変更の理由。2本とも新函館北斗駅を朝出発し、大宮駅に昼前後に到着する列車で、海産物などの輸送ニーズが高い時間帯だ。

大宮駅が巨大物流センターに?

 JR東はさらに、大宮駅の物流拠点化を真剣に考え始めている。

 21年7~8月、東北新幹線と上越新幹線で大宮駅止まりの臨時列車が3本走った。大宮駅は1982年から3年間、東北・上越新幹線の始発・終着駅だったことがあるが、85年に上野駅まで開業してからは、始発・終着となる列車の設定は数えるほどしかなかった。短期間で3本走るのは異例だが、それ以上に異例だったのは1両が荷物専用車両となり、乗客が乗れなくなっていたことだ。通常の荷物輸送では車内販売用のスペースに積み込むため40箱が最大のところ、この列車では客席の間に荷物を載せて約100箱を運んだ。

荷物専用となり、無人状態となった客室。座席の間に台車に載せた荷物が置かれた
荷物専用となり、無人状態となった客室。座席の間に台車に載せた荷物が置かれた

 大宮駅には新幹線の他の駅よりも多い3つのホームがあるが、うち1つはほとんど使われていない。そのホームを使えば、他の列車の運行を妨げることなく長時間止めることができ、大量の荷物を降ろせる。このトライアルで、100箱を降ろしてトラックに積み替える時間を計測したところ、35分であることがわかったという。11月にも再度、新潟駅から大宮駅止まりの臨時列車を運行し、鮮魚や日本酒を埼玉県内のスーパーや百貨店に運んで販売した。

大宮駅のホーム上には荷物を載せた台車が並び、さながら物流倉庫のような光景だった
大宮駅のホーム上には荷物を載せた台車が並び、さながら物流倉庫のような光景だった

 物流拠点というなら、駅ではなく土地に余裕がある車庫などを活用すればいいのではないかと思える。実際、「荷物輸送の検討を始めたときはアイデアとして出た」(浜田氏)というが、調べてみると無理だとわかった。JR東が国土交通省から認可を得られたのは、あくまでも旅客輸送に付随した荷物輸送。駅から駅へ、旅客と荷物の両方を同じ列車で運ぶ貨客混載が前提だ。大宮駅止まりの臨時列車も、荷物専用車両以外には一般の乗客を乗せて走らせた。